都会人のち愛媛人

愛媛県の農業法人でイチゴ生産をしています。移住・農業・イチゴ・愛媛・松山での日常などについて書いていきます。

『第38回 施設園芸総合セミナー・機器資材展』に参加してきました。

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会社より機会をいただきイチゴ生産含め施設園芸について学ぶため2017年2月16・17日に開催された『施設園芸総合セミナー・機器資材展』に参加しました!

収穫の忙しい今、東京まで行かせてもらえたのは本当に嬉しい。感謝です。
この2日間についてまとめます!!

 目次

 

施設園芸総合セミナーとは?

日本施設園芸協会 JGHA ( Japan Greenhouse Horticulture Association )
主催で毎年テーマを変えて行われるイベントです。

ちなみに去年の第37回は「施設園芸の最新技術と国の施策」・「多収・高収益栽培技術」がテーマ。ここ10回はすべて毎年2月に晴海客船ターミナルでの開催。来年も参加したい。

f:id:yumao:20170219091154j:plain今回参加者は430名ほど。生産者・全農関係者・自治体農業関係者・資材メーカーなどが参加されている印象でした。

2月16日第1部テーマは
「儲かる施設園芸 それを支えるマーケティング戦略と新技術」

2月17日第2部テーマは
「イチゴの高収益化を目指して」

勉強したいことピンポイント!!それぞれまとめます。

第1部 儲かる施設園芸 それを支えるマーケティング戦略と新技術

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愛媛県のイチゴ生産に関して言えば観光農園(イチゴ狩り)や直販で目立っているところは数件あれど、生産してJAに売るという流れがまだまだ主流と個人的に感じます。

だからこそ自分が農業従事者としてこれから生きていくためにはマーケティングは必須分野。勉強!!!

施設野菜のマーケティング戦略

オイシックス 坂下さまのご講演。
そもそも野菜はなんのために食べるのか…消費者の傾向は…という前提から、鍵となる検索エンジンのデータも合わせた講演はとてもわかりやすかったです。

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( 引用:Oisix 有機野菜などの食材宅配ネットスーパー | オイシックス株式会社

まず野菜は健康機能面から考えると「身体の調子を整える食べ物」であると。

とくにここ数年では米・パンなどの炭水化物を忌避する傾向が出ていて、健康志向は強くなり野菜摂取の欲求も高まっていることが事実としてあるとのこと。

それをデータとして表しているのが「ダイエット」の検索ボリューム。そして、そのような消費者のニーズに合わせて野菜を通した食の提案から生活の提案をし健康を提供でき生産者にとっても持続可能な環境を残すことがオイシックスのゴール目標と発表されていました。

ただ、健康志向だけど経済的には節約志向で、供給がすくなく値段がたかい野菜より供給が多くお手頃な野菜が消費者に選ばれる。。うんうん。

だから周年で大量安定供給が可能な施設園芸が大切だよねという結びつきでした。お手頃な野菜をバリエーション豊富にいつも食べられるのなら消費者の購買欲も強まり、結果として生産者の収入も安定し持続可能な環境につながると。

供給が余ってからがマーケティングだと言っていたのがすごく残りました。

収量アップを支えるCO2施用技術の新しい展開

岐阜大学准教授 嶋津さまのご講演。

たくさんの式・グラフとともに光合成促進に対するCO2施用の重要性を発表されました。ガス濃度や供給量だけではなく光と気温も同時に管理すべきであると。

収量アップにつなげるために各環境要因をより正確に制御できる測定センサの開発が今後の課題とのことでした。

前文との温度差がすごい。。。
この項目については今後きっちり勉強していきます!!!

株式会社誠和。が考える次世代施設園芸戦略

誠和 斉藤さまのご講演。

全然関係ない話なんだけど、社名のあとの句点はなぜつけてるんだろう。。気になる。。どなたか教えてください。

テンポ・声量・話し方・資料、すべてにおいてとても聞きやすくわかりやすかったです。年間70回以上セミナーをされているとのこと。鍛錬のたまものなんだな〜。

誠和とは から始まり施設園芸における学問と実践について、理想環境を実現させる次世代施設園芸についてと進んでいきました。

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施設園芸業界の総合メーカーである株式会社誠和。
モノではなくコトを売りたいと。ソリューション提案を目指していると。誠和の製品を導入されている生産者に聞くとだいたい「金額が高い」と言われるそうです。それでも誠和のブランド力(信頼)があるから使っていただけていると力強くおっしゃっていました。

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ターゲットも具体的に。
養液栽培もキャズムを越えていないという点は第2部でも講演であがった点でとても意外でした。

もちろん環境制御のデータにあわせて植物生理についての基礎知識の習得も重要だと。そうすることで知識・内容だけでなくより具体的なやり方・考え方まで理解していけるようになるとの話もあり、うんうんと。

学問・実践・知識・技術・施設、すべてを組み合わせて理想の生産を行うようにしたいととても感じた講演でした。

次世代施設園芸の今後の展開

第1部最後は農水省 井川さまのご講演。

全国データとともに現状での取り組みと今後の展開について。 施設園芸における技術開発のひとつとしてトマトの自動収穫ロボットや作物の状態を計測できる画像診断装置も開発されているとのこと。

コストに見合ったリターンがあるか…実用化までは少し時間がかかりそうな印象を受けました。

www.itmedia.co.jp

国の支援事業として現在全国10ヶ所で次世代施設園芸拠点が展開されていて、農水省のサイトで各データも参照できるので、要チェックです!

次世代施設園芸について:農林水産省

集めたデータをもとに取組を拡大していきたいが、やはり施設費用に莫大なコストがかかる点が課題とのこと。課題を克服するための支援策についても発表されていました。

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第1部完 その夜のこと

ビール党のわたくし。1日目のセミナーが終わり夜は銀座LIONへ。エビス1杯で1枚抽選券を引けるキャンペーンがあり、6回引いたらうち2回がなんと1等!

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1等はビール2杯無料、ハズレも3枚集めるとビール1杯無料とのことで計5杯分あるんですが、当然次回来店時からの利用。

みなさん、、知ってますか、、、

愛媛に銀座LIONはない!!!!

広島まで行く機会ができました。。。

つづいて第2部です。

第2部 イチゴの高収益化を目指して

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第2部はイチゴ生産・経営に絞った内容。実際の生産者の方の講演もとても参考になりました。第1部より参加者数も増えた模様。イチゴ生産者にとっては見逃せない内容ですもんね!

種子繁殖型イチゴ「よつぼし」による新しいイチゴ生産体系

三重県農業研究所 森さまのご講演。

平成28年に販売開始となった「よつぼし」特徴は種子繁殖型のイチゴであるということ。親株確保から夏場の苗づくりにかける時間を大幅に削減できる利点があります。(ランナーによる栄養繁殖と種子繁殖の違いもブログにしたい!)

実際弊社でも育成中の品種です。

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形も着色もよく甘みがあり濃厚な味わいで女性に人気のイチゴです!※独自調べ

そんな「よつぼし」を栽培し始めてすぐに起きてしまったのが奇形果。こんなツイートをするくらいずっと結論が出ていなかったのですが、この講演で答えがでました。

奇形化の原因はやはりミツバチの過剰訪花。よつぼしは品種としてミツバチに好まれやすいようです。ただその要因はわかっていないそう。他品種とは違う何かの物質が出てるのではないかとのことなのでミツバチの群数には注意が必要!

質問であがったのはよつぼしの品種による差別化について。人手があり自分で苗を育てる点にこだわりを持たれている方はわざわざ1本いくらで苗を購入するよつぼしにメリットを感じられない様子。

その質問に対する回答は「差別化はできずブランディングもできていない」

あわせて質問にあがった苗の価格については「生産者に多く購入してもらえないと苗代も安くならない」

正直「???」。苗作りの時間を削減したい生産者だけをターゲットにしてます!とスパッと言ってくれた方が気持ちがいいのになと思いました。

平成28年からの販売開始なのでまだ色々と未知の部分が多い「よつぼし」。個人的にも好きなイチゴなのでもしスーパーで見つけたら買ってみてください!

イチゴの次世代型生産技術の開発に向けた取り組み

栃木県農業試験場イチゴ研究所
大橋さまのご講演。

気になったのは蓄熱式環境制御システム。日中ハウス内温度を効率良く使えるシステムで誠和が特許を持っているそう。

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(引用:
http://www.pref.tochigi.lg.jp/g59/new_seika/documents/034-2-12.pdf)

このシステムを利用することで日中長時間ハウスを閉鎖状態に維持できるためCO2施用も並行して可能という考え方だそう。

水源・ヒートポンプ稼働コストも必要ですが、収量は2割弱上がる見込みとのこと。本当に色々な技術があるんだな〜。

第1部でもありましたが、イチゴ生産においてはハウスをなるべく閉めた状態で管理しCO2濃度を800〜1000ppmほどで維持することが収量増につながる点を改めて理解できました。

栃木県芳賀地域におけるイチゴ大規模経営の取り組み

栃木県真岡市 新井農園代表 
新井さまのご講演。

32歳の若さで代表。ご実家のイチゴ農家を継がれるまでは野球でプロを目指されていたそう。高校で体育科だった僕にとってはイチゴ農家で野球選手と同じくらい稼ぎたいと言い切る新井さんはすごくかっこよかった。

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(引用:いちご日本一のまち もおか - 真岡市ホームページ)

生産規模は1.3ha、全国トップのJAの中でトップの販売額を誇るメガイチゴ農家。規模が大きいため従業員さんも多く雇用されていますが、労働意欲を高められるようやりがいやリターンを考えながらケアもきっちり行っているとのことでした。

講演の中で「真剣にやりきること」という言葉を強調して使われていました。自分がやりたい事や持っている将来の展望を周りの人に真剣に伝え続ければ協力してもらえると。

大規模経営の取組について具体的だと感じたのは収穫スケジュール。早めに切り上げて採苗に力を入れているため良い苗ができ翌年良いイチゴができるとのこと。苗半作とはこのことか!

観光農園を主としたイチゴ経営

千葉県一宮町 近藤いちご園 
近藤さまのご講演。

規模70aの観光農園。魅力は多品種・施設の充実度・立地・味・いちご大福!

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(引用:近藤いちご園)

白いちごや黒いちごなど品種は26。トイレも洗面も売店もとても綺麗に整備されているようです。また一宮町は2020年東京五輪のサーフィン会場となるそう。観光地から車で1時間の立地は2020年により強みになるんじゃないかとのお話。

近藤さんも新井さん同様後継者。お米も生産されているので年間通して栽培スケジュールも綿密に組まれている。

ちなみにこちらが近藤さんのいちご大福。いちごと餅がこんな比率になってるのはじめて見た!美味しそう。

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(引用:近藤いちご園)

「あまおう」のブランド化と輸出戦略

福岡県農水部 久保田さまのご講演。

みんな大好き「あまおう」のブランドとしての変遷。成功の要因は4つとのこと。

1つめは品種特性が優れていた点
2つめは品種特性である大玉を活かして贈答用高級路線を確立できた点
3つめは生産者・JA・県が一体となって品種更新がスムーズに行えた点
4つめは出荷基準が徹底されあまおうのブランドが守られている点

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(引用:博多あまおう | 特産マップ | JAふくおか八女)

輸出に関しては海外現地での販売促進フェア、料理教室PR、輸出先の残留農薬基準に適合させた栽培実証、コールドチェーンが具体的な取組だそう。

品種としてはあまおうのブランド力はトップに感じる。第二のあまおうになるかという視点で後を追っていたらダメなようにも同時に感じています。

パネルディスカッション「イチゴ経営の高収益化について」

第2部最後は参加者交えたパネルディスカッションでした。多くの質問が上がっていましたが、みなさんが口を揃えておっしゃっていてかつ個人的に気になった回答をまとめます。

・稼ぐには大規模、大量生産

・地域との連携は重要

・人材確保につながる環境づくりが大切

・学問、実践、経験、データはフル活用

・夏秋イチゴは需要あり

・安全安心の証 GAP認証を目指すべき

リアルな思いが聞けて一番面白かった!

機器資材展

機器資材展も大盛況でした!

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最初に目に入ったのがこのすごくかわいいクリアファイル。機器じゃない。

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天敵やマルハナバチの実物も置いていました。

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うどん粉を抑えるための硫黄くん煙器。
初めて見るものばかりでワクワク。

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Twitterでも活用されているイチゴ農家さんがいらっしゃることで気になっていたみどりクラウド。
いつでもどこでもスマホでデータ確認できるのは本当に良さそう。

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まとめ

普段Twitterでフォローしているイチゴ農家さんにご挨拶できたり、お隣香川県でイチゴ栽培をされている先輩就農者さんにお会いできたり、とても充実した2日間でした!

今回のセミナーに参加し、やはり僕は松山の街で季節問わず作れるイチゴの室内栽培(植物工場)をやりたいと改めて思いました。さっそく来週お世話になっている愛媛県の農業普及員の方に相談に行ってきます!!

そしたらまたブログ書こう!